僕は女性恐怖症だ。

(そして、何故か俺には女の額から角が生えて見えるからだ。)

 僕は百瀬|《ももせ》財閥の一人息子として生まれた。幼い頃に母を事故で亡くし、父の本妻の座を狙って見知らぬ女が次々と僕に近寄って来た。

(物心ついた時には女から角が見えていた。歪で禍々しいそれは本来あるものに見えなくて、母を亡くしてから大勢の女が近寄って来る様は鬼の群れに追いかけられているようだった。)

 危うく誘拐一歩手前までいく騒動が起き、それ以来僕は女性が恐くて仕方がない。

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