悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
「だってお前ら、お妃様が嫌いなんだろ。今まで通り、固いパンと干し肉しゃぶってろよ。 うまいとこだけ持っていこうとして、恥ずかしくないのか老害!」
「なんだと!」
とうとう立ち上がった取り巻きと若者の、つかみ合いのケンカが勃発した。
いいぞ、やれやれとあちこちからヤジが飛んでくる。
「副長なんか、死ねばよかったんだ。あの人が俺たちに何してくれたよ。お妃様の方が、よっぽど俺たちのことを考えてくれているじゃないかっ」
若者が力に任せ、取り巻きをテーブルに押し倒す。食器が倒れる音が響いた。
「この小僧めっ」
別の取り巻きが立ち上がる。その手にはナイフが握られていた。
「やめろ!」
さらなる悲劇が起きる前に、その場を一括する大音声が響く。
食堂に現れた彼は、陽光を吸い込んだような金髪を揺らし、揉める二人に歩み寄った。
「アリスを愚弄することは、俺が許さない」