悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
もみ合っていた二人の手を強く掴み、放させる。オッドアイに睨まれた取り巻きは怯み、指の跡ができた腕をさすった。
「それに、お前もだ」
自分は一切悪くないと思っていた若者もルークに見つめられ、きょとんと首を傾げる。
「彼女が手を尽くした患者に、『死ねばよかった』などと言わないでくれ」
しんと静まり返った食堂に、ルークの言葉が重く響いた。
「……ごめんなさい」
叱られた子供のように、しな垂れた若者が謝る。ルークは端正な顔で微笑み、彼の頭を許しを与えるように優しく撫でた。
その光景に、一部の隊員が胸を高鳴らせる。彼らは亜里が求めていた「萌え」を無意識に理解しようとしていた。