悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
ズボンまで脱がそうとするアリスの手を、ジョシュアは咄嗟に止めた。
「い、いい。そんなところは」
「あなたは患者よ。恥ずかしがることないわ」
「お前こそ、恥ずかしくはないのか!?」
「こんなの、見慣れればただのモノといっしょよ。ぽろんとそこにあるだけ」
下着まで下ろされかけて、とうとうジョシュアは真っ赤な顔で上体を起こした。
「み、見慣れ……⁉ とにかくトイレに行く!」
「行ける? お腹の痛みは?」
「ある……が、問題ない! あとは自分でやるっ」
点滴があるので腕を曲げないこと、点滴台を忘れずに引きずっていくことを細かく命じられ、ジョシュアは医務室の隅にあるトイレに入った。
彼にとってみれば、とんでもない屈辱だった。
このまま老人のように動けなくなり、毎回他人に下を拭かれるのは、絶対に嫌だった。
トイレを済ませたら、アリスに手をしっかり洗うように指示された。とにかく気に食わない小娘だ。
「しかし、療養とは……無理だな。酒はやめられん」
意識があるうちに下を拭かれるのは屈辱だが、病気が進めばそれもわからなくなってしまうだろう。