悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
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 アリスやルークが国境警備隊の改革に乗り出したことなどつゆ知らず、ソフィアは王太子妃になる準備を着々と進めていた。

 魔法学校の寮から国王やアーロン王子が住む城に引越し、アリスとは比べ物にならないくらい広い部屋をあてがわれたソフィアは、鏡に向かって笑っていた。

 彼女の周りには片付けきれないくらいの花嫁道具やドレスが並べられている。

「よかったねぇ、ソフィア。真面目に頑張ってきたから、今の幸せがあるんだよー」

 新品の豪華なドレスを体にあてて、クルクルとダンスを踊る。

「それにしても、あの毒女。今頃どうしているのかしら」

 ソフィアは学校で嫌がらせをしてきたアリスを憎んでいた。

 周りの誰から見てもアーロンの気持ちがソフィアに向いているとわかるようになった、卒業前の一週間。ソフィアはどんな妨害をされても証拠に残せるように準備をしていた。

 そして、アリスがソフィアを殺害する計画があることが彼女の耳に入ってきた。情報を漏らしたのは、アリスの取り巻きだった。

 アリスをけしかけていたモブたちは、ソフィアが次期王太子妃になるとにらみ、アリスを裏切っていたのだ。

 殺害未遂現場の証拠をつかみ、大勢の目撃者の証言も用意し、断罪したアリスを監獄へ送るはずだった。


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