悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

 翌日、体力を回復させたアリスは、ルークを伴って医務室に向かった。

「今度は何をするんだ?」

 ジョシュアは元々体力があるので、すぐにトイレも体拭きも自分でできるようになり、点滴も抜けていた。

 薬も自分で飲めるので、ルークにはこれ以上アリスが直接やらなければならないことがあるようには思えない。

「あのお腹をへこませるのよ」

 と言って医務室のドアを開けると、ぷんと嫌な匂いが漂ってきた。

 アリスはつかつかと踵を鳴らして匂いの元に気づき、勢いよくカーテンを開ける。

「やっぱりあなたたち!」

 匂いの元の犯人は、ジョシュアの取り巻きたちだった。

 彼らはアリスの命令に逆らい、ろくに水浴びも洗濯もしない体でジョシュアのベッドを囲んでいた。

 そればかりか、酒の瓶を手に持っている。栓は開いていないようだ。

「今飲んだら、このひと死ぬわよ。あんたたちそれでもいいの? 副長に元気になってほしくないの!?」

 アリスの代わりに、ルークが酒瓶を奪った。

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