悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
「だって、絶飲絶食なんて可哀想じゃねえかよう。お前、悪魔だろ」
「昨日の絶飲食は処置したばかりだからでしょ。今日の夜から消化にいいものなら食べてもいいわ。でもお酒はダメ」
取り巻きたちはいっせいにアリスを睨む。普通の娘なら怖くて泣きだしてしまうほどの凶悪さだ。
「おいお前ら、やめとけ。妃が俺に悪意を持っているなら、今頃とっくに殺されてる」
寝たままのジョシュアが、取り巻きたちを制止した。
まさか自分たちが叱られるとは思っていなかったのか、きょとんと彼を見つめる。
いつの間にジョシュアの心を開いたのか。ルークも驚いた表情でアリスを見た。
「さあ、出てって。今から大事な処置をするわ。ルーク、この人たちごと部屋を滅菌して」
「心得た」
ルークが手をかざし、青い光で取り巻きたちを包む。
「バイキン扱いしやがって。何をやると言うんだ。副長に変なことをしたら承知しねえぞ」
取り巻きたちを無視し、アリスは既に器具の召喚を始めていた。
彼女の手に現れた物を見て、取り巻きたちはごくりと息を飲む。