悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

「だって、絶飲絶食なんて可哀想じゃねえかよう。お前、悪魔だろ」

「昨日の絶飲食は処置したばかりだからでしょ。今日の夜から消化にいいものなら食べてもいいわ。でもお酒はダメ」

 取り巻きたちはいっせいにアリスを睨む。普通の娘なら怖くて泣きだしてしまうほどの凶悪さだ。

「おいお前ら、やめとけ。妃が俺に悪意を持っているなら、今頃とっくに殺されてる」

 寝たままのジョシュアが、取り巻きたちを制止した。

 まさか自分たちが叱られるとは思っていなかったのか、きょとんと彼を見つめる。

 いつの間にジョシュアの心を開いたのか。ルークも驚いた表情でアリスを見た。

「さあ、出てって。今から大事な処置をするわ。ルーク、この人たちごと部屋を滅菌して」

「心得た」

 ルークが手をかざし、青い光で取り巻きたちを包む。

「バイキン扱いしやがって。何をやると言うんだ。副長に変なことをしたら承知しねえぞ」

 取り巻きたちを無視し、アリスは既に器具の召喚を始めていた。

 彼女の手に現れた物を見て、取り巻きたちはごくりと息を飲む。

< 118 / 215 >

この作品をシェア

pagetop