悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

「俺に勝ったら今日の鍛練は終了にしてやる」

「そうこなくちゃな!」

 ジョシュアだけが楽しそうに木刀を構えた。

「何をしている! 全員立ち上がれ!」

「は、はいいっ」

 隊員たちは代わる代わるルークに向かっていく。が、次々にルークの木刀にかわされ、押し返され、打倒され、草の上にゴロゴロと転がった。

「あなたって強いのねえ。でもみんなに怪我させないでよ」

 隊員たちを気遣っているのではなく、自分の仕事を増やされたくないアリスだった。

「わかっている!」

 と言いながら、ルークは気が済むまで剣を振るい続けた。

 結果、ジョシュア以外の者たちは、足が生まれたての小鹿のようになるまでしごかれたのであった。

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