悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

 その日から、王都の警備に出向くと知った警備隊員たちは、沸き立っていた。

「この前の舞踏会はまるで汚いものを見るような目で見られたけど、今回はそうはいかないぞ!」

「生まれ変わった俺たちを世間に知らしめる日が来たな!」

 健康になり、剣の腕を磨き、隊員たちに自信が芽生え始めていた。

 それはとてもいい兆候と思いつつ、アリスはしぶしぶ荷造りをしていた。

「ん~、やっぱり納豆って難しいわ~」

 先日煮た豆は温度と湿度を保って発酵させた。今日開けたら、カビが発生していた。

 やはり素人が新製品を開発するには、それなりの時間と根気が必要なようだ。

 それはさておき、行くと言ったからには、結婚式に参加する準備をしなくてはならない。

「面倒臭いなあ。お祝いとかどうすればいいのか……」

 とりあえず、外交用のドレスは両親が急いで買って持たせてくれたものがある。

 亜里の世界では結婚祝いと言えば現金だった。しかしこちらではそうはいかない。

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