悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

「薬屋さんに頼んでちょっと高価な薬草でも包もうっと。実用的でいいわよね」

 この辺境の地にオシャレなものは何もない。高級品を買うお金もないし、そもそもルークの贈り物にアーロンが期待しているとも思えない。

「……ちょっと可哀想かも」

 ルークは他の王子になめられている。何も期待されないというのも、少し寂しいものだ。

(そういえば最近、ちょっと様子がおかしかったような?)

 アリスにも冷たいというか、突っかかるような態度を目にすることがあった。初対面の無愛想なルークに戻ってしまったようだ。

(なにか怒らせるようなことを言ったっけ?)

 考えてみるが、何も心当たりがない。

 アウェーな王都に行くと決まって、ルークもナーバスになっているのかもしれない。

 勝手に納得したアリスは、バンとスーツケースの蓋を閉めた。

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