悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

「よし、ハッキリ言おう。君は俺に嫁ぐ前に、好きな男がいたんだろう?」

「はい?」

 あまりに斜め上からの発言だったので、アリスはクッションを抱いてポカンと口を開けてしまった。

「叔父上が言っていたんだ。彼の体拭きをするとき、君は少しも恥じらわなかったと」

「そりゃあ、体拭きは看護だもの。副長の体に欲情するわけでもなし」

「じゃあ、男のアレを見慣れているとはどういうことだ? 俺とは一度もそういうことがない。じゃあ、結婚前に恋人がいたということだろう?」

「はああああ?」

 アリスはジョシュアと交わした会話を懸命に思いだす。

 あのとき彼は体拭きを嫌がるから、面倒くさくて、それで……。

「ああ! そういえばそう言ったわね! だって、見慣れてるんだもん!」

 あははははとアリスは笑った。

「君というひとは。なにがおかしい」

「だって、あなたそんなこと気にしてたの?」

 呼吸を整え、アリスはルークに向き直った。

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