悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
「だから、異世界の医療知識を持っていて、不思議な物品を召喚できるのか」
「そう。だけど過度に期待しないでね。私は医師じゃないから、外科手術とか無理だから。今だって経験を元にした手探り状態よ。ここでできることは限界がある」
アリスはジョシュアの処置や治療がうまくいったことは奇跡であり、自分が万能ではないことを丁寧に説明した。
「わかった」
うなずいたルークは、安堵の表情を浮かべた。
「叔父上が誤解させるようなことを言うから。もしや、君は前に恋人がいたのではないかと……」
「ふしだらな娘をもらってしまったと思って悩んだのね」
「いや、そうじゃない」
ルークは微かに頬を染め、ぼそりと呟いた。
「勝手に想像した元恋人に、嫉妬して狂いそうだった」
よほど恥ずかしいのか、彼は右手で自分の顔を覆った。
「まあ」
だからつっかかってきたりしたのか。アリスはやっと納得した。
いつまでも顔を上げないルークを見ていたら、彼女の胸の奥に泡が弾けるような感覚が芽生えた。