悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

「でも俺は、姉さん被りとブーツで走り回るアリスが一番好きだ」

「うそ。えっと……あ、ありがと……」

 姉さん被りとは、アリスが髪をバンダナで隠す時にルークに教えた、亜里の言葉である。

 前世から恋愛経験のないアリスは、甘くなったルークにどうリアクションしていいのかわからず照れ笑いした。

 クスクスと笑いあう二人の後ろから、カツカツと高い靴音が聞こえた。

 振り返ったアリスはハッと息を飲む。

 そこには、純白のウエディングドレスに身を包んだソフィアが自分をにらんで立っていた。

「どいてくださる?」

 邪魔だと言わんばかりの口ぶりに、ルークもいつもの無表情に戻った。

 アーロンの母、つまり現王妃から継承したというドレスはたっぷりとレースやリボン、真珠があしらわれた豪華なものだった。

 どっちかというと日本人的なソフィアの顔には合わないとアリスは思ったが、もちろん口には出さない。

 日本人がプレイするゲームの主人公であるソフィアは、茶色のボブヘア、茶色の瞳、高すぎない鼻と、日本人が感情移入しやすい顔をしているのだ。

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