悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
主役ふたりが着替えのために一時退出するのを、アリスは遠目に見ていた。
国王に案内された席に座ると、目の前に飲み物や菓子が運ばれてきた。
「さっそくそなたのスキルについて聞きたい。それは魔法学校で身につけたのか?」
「いいえ……」
探るような国王の目つきに、居心地の悪さを感じる。緊張とはまた別の、何か。
「多分生まれ持ったものだと思います」
「あの不思議な道具の数々はどこから召喚した?」
「異世界から」
「異世界の道具の使い方を、なぜ知っている?」
国王の質問はストレートな上に尽きることがない。
アリスは慎重に言葉を選ぶ。
「それはえっと、神の声が聞こえるというか憑依状態になるというか……」
「ほう、巫女のようなものか」
「しかし、やれることには限界があります。全ての病気や怪我をたちどころに治すということはできません。私にできるのは看護、つまり患者さんのお手伝いだけなのです」
国王は自分を利用しようとしているのかもしれない。