悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

 早くこの場から解放されたい、そう思ったときだった。

「国王陛下!」

 固く閉ざされていた大広間のドアが、勢いよく空いた。そこには甲冑を着た騎士が立っていた。

「なにごとだ」

 国王が立ち上がる。

 ただごとではない雰囲気に、広間にいた全員が固唾を飲んだ。

「敵襲でございます……!」

 アリスは耳を疑った。

 まさか、国境を破られてしまったのか。

「敵とは何者だ」

「調査中です。が、街のあちこちに爆発物が仕掛けられ……おそらくこの婚礼に乗じ、外国からの商人に化けて爆発物を持ちこんだのではないかと」

 外国からの商人は、ルークが守っている国境ではなく、貿易専用のルートを通ってくる。

 アリスがホッと胸をなで下ろしたのもつかの間、開いた扉の向こうから、爆発音が聞こえてきた。

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