悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

 アリスが式に参列している間、ルークは城外で待機していた警備隊の元へ向かった。

「あっ、隊長! どうしたんですか。俺たち朝から命令を待っていたんですよ」

 すっかり待ちくたびれた隊員たちがルークに詰め寄る。

「どうせ、俺たちを招集したことさえ、国王も王子も忘れていたんだろう」

 馬車にもたれたジョシュアが、腕組みをして言った。

「……持ち場は決まった。城前庭園の花壇だ」

「は?」

 ジョシュアの取り巻きだった中年隊員が不満を露わにする。

「王太子妃殿下の花壇に何人も入れるな。いいな」

 無表情で命令を下し、マントを翻したルークに、中年隊員は後ろから怒鳴った。

「まさか、そんなふざけた命令を、素直に受け入れてきたのではあるまいな!?」

 掴みかからん勢いの隊員の肩を、ジョシュアがポンと叩いた。

「結構な命令じゃないか。守り切ってやろうぜ、皆の衆」

「副長……!」

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