悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

 ルークは振り返って隊員たちを見つめた。

「おうっ!」

 若い隊員たちが元気よくジョシュアに返事をする。

 隊員からどんな罵声を浴びせられても耐えようと思っていた彼は、威勢のいい声に驚き、振り返った。

「叔父上……」

「どんな命令でも持ち場を守るのが俺たちの仕事だ。そうだろう」

 ジョシュアが歩き出すと、隊員たちがぞろぞろとその後に続く。

「隊長が先頭を歩かないと、格好つきませんよ。さあさあ」

 若い隊員に背を押され、ルークは先頭に出た。

 アリスが来る以前の警備隊だったら、やさぐれていただろう。

 ルークは心の中でアリスに、そしてジョシュアにも感謝した。

「いざ、庭園へ」

 彼は号令をかけ、すっと背を伸ばして歩き始めた。

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