悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

(いけない、頭までボーっとしてきた。召喚スキルと透視スキル、一気に使いすぎたんだ)

 ゲーム中でも、一日に使えるマジックポイントとスキルポイントは決まっている。

 それを越えたら、休むかアイテムを使わなければ回復しない。

 老人の心拍は戻らず、アリスががっくりと肩を落とした。その時だった。

「いやああああ!」

 甲高い、癪に触る叫び声が城の方から聞こえた。

「あなたたち、誰の許可をとって、こんな……!」

 霞む目を擦ってやっと見えたのは、青ざめて怒りに震えるソフィアだった。

「ここは、国王陛下とアーロン殿下が私のために作ってくださった庭園なのにっ」

 自分の権力の象徴を踏み荒らされ、血で汚されたのがよほど許せないのか、ソフィアは完全に取り乱していた。

「なによっ、結局何人も死んでるじゃない。あんたなんて、何の役にも立ってないじゃない」

 言われて、アリスは周りをゆっくりと見回した。

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