悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
「そうだそうだ! 俺たちみんな、お妃様のおかげで立ち直ったんだ!」
ジョシュアに呼応し、警備隊員たちが泥や血に塗れた顔をクシャクシャにして反抗する。
「全ての命を救おうなんて、思わなくていい」
肩を叩かれてアリスが顔を上げると、ルークがいた。
汚れた彼女の頬を撫で、ルークは柔らかな日差しのように微笑む。
「やれることを全力でやろう。俺たちは全面的に、君を支持する」
ルークも度重なる魔法の使用で疲れているはずだった。けれど、そんな様子は少しも見せない。
消えかけたアリスの心の灯が、甦る。
「やっぱりあなたは最高の相棒だわ」
差し伸べられた手を掴み、アリスは立ち上がった。ソフィアを無視し、重症者の元に走る。
「なに呆けてんだ野郎ども! 働け働けーっ」
「おーうっ!」
なめて下に見ていた者たちに完全に無視されたソフィアは、唇を噛んで屈辱に耐える。
その横を、ひらりとマントが翻った。
「皆の者、待たせたな!」