悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
「これで結婚式の招待状が来なかった理由がわかった。お前は我々に嫌われていると思いこんでいたのに加えて、質素な式で花嫁に恥をかかせたくなかったのだな」
ラズロがルークをいたわるように見つめた。どうやら彼は、辺境に飛ばされたルークの身を案じてくれていたらしい。
「では、これで全ての誤解が解けたということで。改めて、ルークを次期国王に推薦する」
「父上。いえ、陛下……」
「私腹を肥やす考えばかりでは、国は亡びる。先日と同じような事件が頻発するだろう。余はそうなってほしくないのだ」
国王の力強い声に、素直な者はうなずき、後ろめたいことがある者は、黙ってうつむく。
「そなたとアリスは、国民のことを一番に想って働ける、数少ない王族だ。是非そなたたちにこの国を頼みたい」
彼が言い終わると、ラズロが賛成の意を表す拍手をした。
拍手は初めひとつきりだったが、やがて警備隊に、周りの席にぱらぱらと広がっていく。
「陛下、それはあんまりです。私の立場はどうなるのですか」
今にも泣きだしそうな顔でアーロンが訴える。