悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
「お前たち兄弟は、ルークを支えてくれ。そしてソフィアよ」
「はい」
今まで黙ってうつむいていたソフィアも、国王に呼ばれて顔を上げた。
「おぬしとアーロンの婚約は一時白紙に戻そうと思う」
続いていた拍手が完全に止まった。
「なん、ですって……?」
ソフィアがかすれた声で独り言のように呟いた。
「アーロンが選ぶ女性ならと思っていたが、そなたはもう少したくさんのことを学ぶべきだ」
待っても、国王はそれ以上のことを言わなかった。
どうすれば王太子妃の座に復活できるか、条件さえも付けない。
それだけ、国王の前で見せてしまった失態は大きかったのだ。
ソフィアはぐっとうつむき、唇を噛んで屈辱に耐える。
室内の空気がこれ以上ないくらい重くなり、国王が人を呼んでソフィアを退出させようとした、そのとき。
「あ、あのう申し上げてよろしいですか?」
アリスが手を上げた。
「まだ何か確認したいことがあるのか。申してみよ」
国王が許可すると、アリスはすっと息を吸った。