悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
ジョシュアが自分の席を離れ、アリスを説得しに近づく。
「えー。まあ、ルークがやりたいなら、付き合うけど……。私、お作法や外国語のお勉強なんて無理よ?」
自分の興味があることしか力を発揮できないことを、周りはまだ知らない。
「あなたはどう思う?」
尋ねられたルークは、うーんと顎に手をあてて考え込んでしまった。
「俺も、今すぐには無理だ。警備隊のこともあるし」
数分後口を開いた彼は、真っ直ぐに国王を見返した。
「俺はこの通り、アリスがいなければ何もできません。まずは今の領地を豊かにし、領民を幸せにすることが、俺の使命だと思っています」
「ほう……」
「辺境の小さな土地をおさめられなくて、どうして一国の主が務まりましょう。これからの俺の働きぶりを見ていただいてから、またご一考いただきたいです」
それもそうだとアリスは思ったが、口には出さない。
彼は優しすぎる故、国王などには向いていないと、彼女は考える。
今まで辺境の地で独自の成果を上げてこなかったことも、不安要因としてある。