悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
願いは成就する
「お妃様―!」
「隊長、お妃様、おかえりなさーい!」
城に戻ってきたルークたちは、留守番の隊員たちに迎えられた。
「ただいま。はい、たくさんお土産!」
国王から贈られた食べ物や衣類、本などに隊員たちは目を輝かせた。
「すげえ……。あれでも、俺たち国王陛下に嫌われているのでは?」
キョトンとする隊員の肩を、ジョシュアがポンと叩いた。
「それは誤解だったんだ。おふたりのおかげで、これからもっと暮らしやすくなるぞ」
「誤解ですか?」
「詳しくはあとで話そう。さあ、荷ほどきを手伝ってくれ!」
「了解!」
その夜は王都での事件から最後の食事会までの話で盛り上がった。
一部始終を見ていた隊員たちが、面白おかしく脚色しながら話す。
「第一王子がな、こう足を押さえて『痛いよ~、ママぁ~』って泣いてな」
「マジか! よっわ。王子さまよっわ」
相変わらず酒は一杯しか支給されないが、その日の夕食の時間はいつもより長く続いた。
笑顔の隊員たちを見て、アリスたちはやはりここに帰ってきてよかったと思った。