悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
業務が厳しいため、離職率も高く、慢性人手不足。
残業が当たり前になっているこの状況は、泣きたくなっても無理はない。
「その代わり残業代とボーナスもらえるからね。彼氏と海外に行くんでしょ? バリ島イメージして頑張ろう」
「はい。お金大好き。頑張ります」
なんとも夢のない話はそこで終了し、気を取り直した亜里たちは心を込めて遺体の体拭きを済ませた。
遺体を霊安室に送ってから、亜里は他の受け持ち患者さんのバイタル測定や採血に回った。するとあちこちで「遅い」と文句を言われた。
他にも退院患者さんの会計書が遅いと言われたり、隣のベッドの患者さんのいびきがうるさいから個室に変えろと言われたり、病室の除菌ジェルを自分のバッグに入れようとしていた患者さんに「それホテルのアメニティーじゃないんで持ち帰らないでください」と注意したら逆切れされたり。
なかなか休憩にも入れず、入ったら入ったで高速で弁当を食べてすぐに仕事に戻る。
師長は「一時間きちんと休憩を取って定時に帰りなさい」と言うが、現実問題それは無理だ。