悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
副長の秘密
次の日からアリスは、早速ルークの城及び国境警備隊の改革に乗り出した。
改革と言っても、大層なことをするわけではない。
「ここが最後尾か?」
「ああ。一列に並んでないと、お妃さまの扇が飛んでくるぞ」
アリスは使われていない客間で、隊員の健康診断を行おうとしていた。
隊員たちは面白半分で、診察の列に並ぶ。
「出でよ、聴診器と体重計!」
アリスが叫ぶと同時に、部屋が光で満ちる。眩しさから解放された隊員たちが見たのは、彼女の手にある聴診器だった。
床に大きな身長体重計──自動で体重と身長が同時に計れる優れもの──が現れると、隊員たちから声が上がった。
「おおっ、これが噂の召喚スキルか!」
前方に並んでいた隊員たちから拍手が沸き起こる。
舞踏会で召喚した血圧計と聴診器を持ち、アリスは男たちに指示を出した。
「はい、みんな服を脱いで。上半身だけでいいから。そうしたらそこの体重計に乗って」
声が聞こえた者たちは、素直に服を脱ぐ。
ルークは隊員たちがアリスに無礼なことをしないよう、傍で見守っていた。