悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

(洗濯も、亜里のように洗濯機に入れてボタンを押すだけで終わればいいのに)

 アリスはひとり、岩の上に座って男たちの様子を眺める。

 その中にはルークもいた。シャツの袖とズボンの裾をまくり、隊員と一緒に洗濯をしている。

(ま、なんだかんだ私は命令を出すだけだから、最初に思っていたより楽だわ。みんなもなんとなく楽しそうだし)

 彼らの仕事である国境パトロールはシフト制。非番で城にいるだけだと、ついお酒を飲んでつまみ食いしてしまう。

 その時間に体を動かすようにしてから、彼らの表情は格段によくなってきた。

 アルコール依存症になっていた者は、アルコールをとらないことによる離脱症状が出た。幻覚が見えたりするのである。

 そういう者は、先日作った医務室で過ごすことになっていた。アリスがいないときは、隊員が順番で見張っている。

(明日は城じゅうのカーテンを洗って、あ、まだ洗ってないシーツも。無理そうな者はルークに除菌してもらって……)

 まだまだやることはたくさんある。

 そして環境整備は一度やったら終わりではない。城がある限り、ずっと続いていくのだ。

(もっと資金があればなあ)

< 75 / 215 >

この作品をシェア

pagetop