悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
ジョシュアにそのような過去があったとは知らなかったアリスは、驚いた。
(てっきり、酒に酔って暴れたりして国王陛下に嫌われたんだと思ってた)
彼が酒浸りになったのは、自暴自棄になったからだったのだ。
「副長は相当お酒を飲んでいるの? さっきもお酒の匂いがしたけど」
「あ、ああ……。おそらく、水の代わりに飲んでるな」
「何年もそういう生活が続いているのね」
アリスは眉をひそめた。長年のアルコール多飲。
「薬屋さんに薬を求めに行っているってことは、体調が悪いんじゃないかしら」
「そうだろうな。でも意地でも俺たちには頼りたくないと見た」
いったい、どういう症状で薬屋に通っているのか。薬屋の奥さんが目当てかと思ったけど、本当にそうなのか。
考え込みそうになり、アリスは首を横に振った。
ルークがジョシュアをなんとかしてやりたいと思っても、彼自身が変わりたいと思わなければ無理だ。
「仕方ないわね。心を開いてもらえるまで、気長にやりましょう。次の行動を考えてあるの」
「まだ改革が続くのか」
「嫌?」
「いいや、楽しみだよ」
ルークは微笑み、アリスの手を握りなおした。