悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

 ちなみにこのふたり、夫婦となってからも別々の部屋で眠っている。

 普通の王族なら、メイドが王太子妃の用意を整え、夫と同じ寝室に送り込む。

 けれどここにはメイドも執事もいない。さらには跡継ぎを望む声もない。

 なので、アリスは自分のベッドで、好きなだけ手足を広げてぐっすり眠っているのであった。

 元々恋愛で夫婦になったわけでもないので、ルークに特別な感情はまだ抱いていない。

(でも、いい人よね。この城のみんなをなんとかしたいと思って、文句も言わずに働いてるんだもの)

 夜中、ベッドの中でアリスは考える。

(ルークは私のこと、どう思っているのかしら?)

 そもそも彼はアリス自身ではなく、彼女の能力を買っただけなのだ。

(ああ……乙女ゲームがしたいなあ)

 亜里はクールなキャラが好きだった。普段は冷静なキャラが親密度が高くなるにつれてデレてくる。最後には、どのキャラより恥ずかしい言葉で告白してくる。

 そういった、クールと溺愛のギャップがたまらなく好きなのだった。

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