恋泥棒の犯行予告
「圭斗、ちょっとこっち向いて」
「ん……」
強引に圭斗の首に腕を回して、唇を奪う。
重ねるだけの子供みたいなキスだけど、触れた唇はビリビリと痺れてしまった。
「つらいなら、無理しなくていいよ。」
私も申し訳ないと思ってるし、とだけ付け加えて私は高校生活で恐らく最後と思われる夏祭りに別れを告げた。
帰り道、祭りの余韻にまだ浸っていたくて、圭斗とキスをした。
お互いの気持ちを確かめるように、何度も何度も。
不思議なことに今までみたいなドキドキはなくて、脳裏をよぎっていったのは、あの日、日世がつまらなそうな顔で言った台詞だった。