恋泥棒の犯行予告


「ヒナ遅い。また人たらしてたんだろ」

「失礼な。普通に喋ってただけだよ」

「お前の場合はそれがたらしこんでることになるんだよ。んの天然タラシが」


どうやらご機嫌ナナメのようだ。

こうなってしまってはもうどうにもならない。

大人しく塾へ送っていこう。


「今日は英語だっけ?」

「そうそう。課題も超よゆーだったし今日は半分寝ててもいける」


有は良くも悪くも後腐れがない。

本気で怒ることなんてまずないし、少し怒らせてしまっても次の日にはケロっとしている。


「よしっ、夏休みぶっ倒すぞ!」

「おー」


気のない返事をして、これから送らねばならないであろう勉強生活に小さなため息をお見舞いした。

< 203 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop