恋泥棒の犯行予告
「話を聞いてくれませんか」
「どうしたの、そんなかしこまって」
足の間から抜け出すことはせず、そのまま話し始める六花。
低い位置にある六花の頭が、こてんと俺の胸に預けられる。
ここからじゃ顔は見えない。
何の話が始まるんだろう、やっぱり今日のことかな、と少し身構えていたら、無言を貫いていた六花が口を開いた。
「別れたんですよ、圭斗と」
脳みそ処理落ち。
ちょっと待って今なんて?
「え、それって、お付き合いを解消したってこと?」
「そういうことですねぇ」
妙に気の抜けた返事。
いつもみたいなハキハキした空気はこれっぽちも感じられなくて、その声にまた眠気を誘われる。
違う、これは六花の声のせいじゃない。
安心したんだ。