恋泥棒の犯行予告
「ほんと?」
嘘だと言われたら立ち直れる自信がない。
そう尋ねると、六花は1つ息を吸った後、俺の手を取って自分の膝の上に置いた。
「やっぱりさ、私ヒナじゃないとダメっぽいんだよね。癪だけどさ。今もびっくりするほど心穏やかで……ねむたい」
これは、
「ごめんね、ちょっと遠回りしたけど。私ヒナのこと好きだよ。アンタの作戦勝ち」
ひとり、ぽつぽつと言葉をこぼしていく六花。
俺の、作戦勝ち……。
「ちょ、ヒナ!? 何、いきなり!」
身体を駆け巡る多幸感。
目の前の身体をぎゅっと抱くと、思ったよりも小さかった。
力を入れたらこのからだはつぶれてしまう。
こわさないように、でも力一杯抱き締める。