恋泥棒の犯行予告
6章 8月21日 余罪
日世と付き合うようになったからといって、私たちの生活で変わったところは驚くほどなにもなかった。
強いていうなら日世の部屋に上がり込む頻度がほんの少しだけ増えた……気がするだけ。
互いの勉強を邪魔しないよう、話すのは最低限。
ほんと、見張りくらいの意味合いしかお互いに持っていない気がする。
「ねぇヒナ、休憩しない?」
時計を見ると、勉強をしだしてからすでに3時間が経過していた。
ペンが走る音以外何もない部屋の空気はピンと張りつめていて、休憩するにはあまりにも居心地が悪い。
「そうだね。ちょっと酸欠気味。窓開ける」
日世が窓を開けた瞬間、熱風が流れ込んできて体から汗が吹き出す。
「あぁぁぁぁぁぁぁ……」
床から聞こえてくる情けない声。
その奇声は何なんだ。