恋泥棒の犯行予告
7章 9月15日 罪人×罪人
9月に入ると、数人が殺気を放ち始めた。
超難関大学を目指す人、成績がふるわなくて一度の推薦に全てを懸ける人。
全員がこの状態になったら、教室で事件でも起きるんじゃないだろうかっていうくらい、彼らの目はうつろだ。
「六花ぁ。結局進路どうすんの?」
「無事和解。看護師めざす」
「え、お父さんどういう心境の変化?」
「夏休みにちょっとね……ドンパチしたんだよ」
「こわ」
あのあと、お父さんと話し合って無事看護師を目指すことを許してもらえた。日世にお礼を言いに行ったらなぜか夕飯作るのを手伝わされたけど。
「そっかぁ。んじゃああたしもそろそろ本腰入れて勉強するか……」
「まだ本気じゃなかったの?」
「まぁね。言っても遊ぶ暇があったわけだし、こんなもんで満足してちゃ合格発表の日に自分の番号見れないだろね」
頭の後ろで手を組んだ暁奈がそう言う。これまで結構しっかり勉強してたように思えたのに。
暁奈がまだまだ頑張るんなら、私ももっとやらなきゃじゃん。
「とりあえずあれだよ。あれ」
「あれだね」
今は昼休みとか放課後とかじゃない。ロングホームルーム中。教室が騒がしいのは黒板に白で大きく書かれた文字が原因だ。