恋泥棒の犯行予告
『文化祭! 普通科特進合同出店決定!』
クラスの生徒会役員が張り切って書いたその文字は、私たちの心を揺さぶって揺さぶって仕方なかった。
教室全体がどよめく。その声はいまだに収まることなく、全員が左右前後にいるクラスメイトと顔を見合わせていた。
「今年の文化祭は学校中の仲を深めることが目的です。その一環として、毎年行われる露店を3組と合同で行うことになりました。みんなで協力して頑張っていきましょう」
以上です、と締められる言葉。なんでそんなことになったんだ。
「やばいって、普通科と合同で露店とか絶対モメる」
「分かり合える気しないんだけど」
「向こうにもガリ勉だとかクソ真面目だとか言われてるのに大丈夫なのかよ」
とまぁこんな感じだ。
特進コースと普通科は絶望的にソリが合わない。これは私たちの代に限ったことではなく、伝統のように続いているらしい。
まさに火に油。
「確か生徒会長の彼女って特進コースにいたよね」
「それだ」
暁奈のつぶやきから合点がいった。
普通科から選出された生徒会長、そういや最近特進コースの彼女ができたって噂が回ってた気がする。
公私混同は慎め。