からふる。~第19話~
「さあやん、たっだいまぁ!」


「朱鷺田さん、ただいま」


「お2人共お帰りなさい」



八代先輩と凜くんのご帰宅だ。



「さあやん具合は大丈夫ぅ?」


「うん。ゆっくり眠ったから大丈夫だよ」


「ここ数日忙しかったから、疲れもたまってしまったのかも。今日も早く眠って下さい。帰宅部組も手伝うから」


「ありがとうございます」



ここの人たちは皆優しい。


その優しさに私は救われている。


人の優しさに触れているうちに心のもやも消えていくだろう。


私はここで生きていくんだからこんなところで挫けちゃいけない。


負けてはならない。


頑張らないと。



「じゃあ、ボクと黄海くんからエールを送りま~す!せーのっ!」



もしや、あの時の三三七拍子?



「とーきーたーさーやに送るぅ~。ローマンス!」



えっ?


えっ?


えっ?


な、な、何これ?


八代先輩、めっちゃキレッキレダンスしてるんだけど...。


凜くんは着いていけず、その場でぴょんぴょん跳ねる。


あまりにの迫力に唖然とその光景を見つめていた。



「ふぅ~。疲れたぁ...」


「これがヲタ芸の1番メジャーなロマンスだ!黄海くんも朱鷺田さんも踊れるようになろう!」


「えぇ~。絶対やだ~」


「私もちょっと勘弁させて下さい」


「うっそ~。ひどいよ、2人共」



八代先輩のあまりの落胆ぶりに私と黄海くんは爆笑した。


久しぶりに声を出して笑って、少しだけ心が軽くなった気がした。


ありがとうございます、八代先輩。


ありがとう、凜くん。


私はここの寮生に支えられているのだと改めて痛感したのだった。


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