手を繋いで
進路
 3年生になった。進路を決める時。私は迷わず専門学校への進路を希望する。タケちゃんは思いもよらぬことを言い出した。

『大学に行く』

 タケちゃんのご両親は早大卒、お姉さんは青学現役生だった。高学歴家族。美容師の夢、専門学校への進学は許されなかった。

 2年生に進級するのがやっとだったタケちゃんが、予備校に通い始めた。大学への進学は確定された。私は思いもよらぬことを思い始めた。

『こんなのタケちゃんじゃない』

 親の言いなりになるタケちゃん。タケちゃんてそういう人だったの?それに美容師への思いはそれまでだったんだ。

 なんか違う。

 私のタケちゃんへの見る目が、みるみる変化する。その速度は速く、止まらなかった。

 私は迷う。

 こんな思いのまま付き合っているのは駄目だと思った私は、タケちゃんに別れを告げる。高校3年の夏だった。
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