ユートピア
第11話
 その後、私は脅えることはなかったけど、動けなかったのは事実。聞こえる音が、醜くて。

 沢山の下品な足音と罵声。それといくつかの卑劣な銃声。

 私はずっと握っていた。ずっとネックレスを握り締めていた。祈っていた。何を祈っていたのだろう。自分でもわからない。

やっぱりユウスケは抱えていた。独りで影を抱えていた。その影はどれだけ重く、孤独はどれほど深かったのだろう。それももう、わかることはない。
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