ユートピア
第15話
 夢を見た。少女が言った。

「猫には不思議な力があるの」

 私は静かに目覚めた。どこかで前に聞いたことある。いつだっけ。わからない。窓から見えた空。良い感じに明るくなっている。起きよう。今日も忙しい日。

 私は日の出待ち。いつまで経っても見慣れない景色。どこまでも、美しい。

 その日のお昼。オーナーの奥さんが。

「ルカちゃん、今日はもうお昼入っていいわよ。」
「え?いいんですか?」
「ゆっくりしてらっしゃい。」
「じゃあ、いただきます。ありがとうございます。」

 いつもより少し早く、私は休憩に入る。

 エプロンを外し、髪をほどいた。背伸びをする。風が気持ち良かった。足元がくすぐったい。

「あれ?どこから来たの?」

 猫がいた。真っ白な猫。よく鳴く猫だった。

「どうしたの?お腹空いてるの?」

 猫は歩く、海に向かって。私は今朝見た夢を思い出す。猫は私に、振り向いては鳴き、振り向いては鳴いた。早く入れた休憩、時間がある。猫について行ってみよう。
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