ユートピア
第4話
 気付いたら高速に乗っていた。サービスエリアに入る。

 車を止めて、その人は大きな息をした。そして帽子を取り、パーカーを脱いだ。白いタンクトップ。ツバメが目立つ。後部座席に置いてあった、着たのはシングルのライダースジャケット。

「脱げるか?その制服。」
「え?」
「目立つし、不自然だ。」
「あ、そっか…。」

 コンビニを出たままの格好。制服を脱いでTシャツに。身軽になった気分がした私も、大きな息をした。その人はドアを開ける。

「待って!」
「なんだよ、出ないのか?」
「そうじゃなくて、大丈夫なの?」

 その人は笑った。少しだけど。

「心配してくれてんのかよ。」
「だって…。」
「行くぞ。」
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