からふる。~第20話~
私は...泣いた。


涙が溢れてきて、止まらなくなった。



「さあや?おい、泣くなよ。おれが原因か?おれなんかしたか?」



したよ。


したんだよ。


自分が傷つくことを恐れず、私を助けてくれた。


それだけで十分泣けるよ。


おじさんたちに色々されて怖かったけど、そんなのより黒羽くんが助けてくれたことが嬉しくて泣けてきちゃったよ。


黒羽くんがいてくれて安心してるんだよ。



「おれはいつだってさあやがピンチの時は助けにいく。さあやが泣いてる時は側にいる。だから心配すんな。おれは唯一無二のさあやの大親友だからな」



頭にぽんと手が乗り、まるで生まれたての子犬を愛でて撫でるかのように優しく撫でられた。


それに、ほんの少しだけ、胸がキュンとなった。


そして胸がちくりと痛くなる。


浮かんだのはあの子の後ろ姿。


私は罪悪感から必死に泣き止もうとして両手で目元を拭いた。



「そんなことすんなよ。泣きたけりゃ泣けばいい」


「でも...」


「そんな顔すんな」



そう言ってまた私を優しく包む。


その温もりに私は安心してしまう。


このままがいいなんて思ってしまう。


それは罪なのに。


紛れもなく有罪なのに。



「おれが抱きたくなるような顔すんじゃねえよ」



ごめん。


ごめんね。


でも...私は...


今黒羽くんに側にいてほしい。


このまま包んでいてほしい。


たとえお互いに罪を重ねようとも。


今は甘えたい。


優しくされたい。



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