雨のち笑顔
 なぜ先生は、今1番言われたくない言葉を今言うのだろう


 練習が終わって、止まらない涙を拭って笑顔を作るが、心がちっとも元気にならない。


 自転車置き場には昨日と同じように和也くんがいた。


 「あ、凜華、部活おつかれ、今日も一緒に帰るか?」


 昨日とても楽しかったから普段なら帰るだろうが、今日は泣いてるし、とてもじゃないけど一緒に帰るのは無理だ。


 「ごめんね、今日はちょっと無理かも」


 「なんかあったか?」


 「なんもないよ」


 これ以上話していたら、和也くんの前で泣いてしまいそうだ。


 一刻も早くここから立ち去りたい。


 「じゃあね、バイバイ、また明日」


 「待てよ」


 和也くんから逃げた。いや、逃げようとした。でも、和也くんに腕を引っ張られているので動くことができない。


 「泣きそうだけど大丈夫か?言いたくないことだったら話さなくていいけど、頑張りすぎんなよ」


 もうだめだ。これ以上我慢できない。


 私は和也くんの前で泣いた。涙を流し続ける私の背中を和也くんは優しくさすってくれた。


     どうして私じゃなかったのだろう


     茜はいいな。なんでも出来て、皆から好かれていて。


     茜に嫉妬ばかりしてしまう自分がいやになる。


 そんなことを考えながら泣いた。


 少し落ち着いたのでまた、和也君と一緒に帰ることになった。昨日と同じようにとても楽しかった。
  

 明日からも頑張ろう。


 そう思うことができた。


 ありがとう和也くん。





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