crazy for you
chapter 1

視線の先

...ミーンミンミンミンー...



蝉が鳴き始め、日本のムシムシとした夏が始まろうとしている。



高校に入学して早3ヶ月



私の名前は瀬戸夏恋。



中学の時は茶髪にしては先生に怒られ黒染めをさせられた。



痛みに痛みきったロングヘアで、腰まであった。




その思い出が詰まった髪を高校入学と共に鎖骨まで切って、ミルクティー色に染めた



そのまま下ろしてると、こけしみたいだから毛先を毎朝コテで外はねに巻き、美容室てゴリ押しされたちょっと高めのオイルをつける



自分で言うのも恥ずかしいけど悪くはない



そして中学のときは少しでも目を大きく見せようとしていただけの汚いメイクは、自分に似合うメイクへと変わった



「...セ....ト...セト....瀬戸!」


....ん?なに?そんなに大きな声で呼ばなくても聞こえてるって。


「.....はいっ!?」


「はい!?じゃないだろ?今は昼寝の時間じゃないんだよ。いつもいつも俺の授業で寝やがって!大体....」


うわーまたこのめんどくさい大内の授業で寝てしまった...



大内は化学の先生なんだけど、この学校で1番口うるさい先生だ



私は化学というか理系が全体的に苦手で毎回小テストでは赤点か赤点ギリギリ。



だからいつも先生にお願いだから救ってくれと直談判しに行くのが私の恒例行事



大内は口はうるさいけど、赤点を取っても頼めば救ってくれる先生で私は嫌いではない....はず。


「...おい!聞いてるのか!」


「スミマセン。以後気を付けます....」


「その言葉俺は何度も聞いてるぞ?これ以上寝たらテストで赤点取っても救ってやらないからなーそうしたら夏休みお前は学校にきて補修だ!」


うそ!それは困る!


「え!先生!それは勘弁!」


「勘弁はこっちのセリフだ!寝るな!ほら次進むぞー」


クスクス...
クラスの子達が私と大内のやりとりを聞いて笑ってる



なんでみんなは大内の授業を寝ずに受けられるんだろう、私には謎でしかない


「夏恋また怒られてんじゃん」


そう小声で話しかけてきたのは、後ろの席の
小川 真菜(オガワ マナ)
大人っぽくて、姉御気質の真菜はいつも私のフォロー役



暗めの茶髪のロングヘアで、言われない限り高校生に見えないくらい大人っぽい



...私とは大違いだ



そして一つ上のバスケ部の先輩と付き合っていて、ほんとに美男美女って感じでお似合いだ


「真菜〜私今度こそ、テスト救ってもらえないかも〜」


真菜に泣きつく私


「なんで夏恋はいつも赤点ばっかだもんね〜逆に尊敬するわ」


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