crazy for you
おじいちゃんは私が小学校6年生の時に、おばあちゃんは高校に入る数ヶ月前に亡くなった



もちろん両親はお葬式の準備をしてくれたし式にも出た



けどそれが終わると忙しいと口を揃えて言い、家でゆっくりすることなく仕事に戻って行った



家族のために仕事をしてお金を稼いでくれているってことくらい馬鹿な私でも分かる



だから私はなんの不自由もなく生活できて、学校に行けてるんだから。



でもたまに、そんなに仕事しなくてもいいんじゃないかって思う



それは私のわがままだし、そんなことは口が裂けても言えない



おばあちゃんもおじいちゃんも困るほどのわがままで甘えん坊だったのに、いつしか私は両親に気を使うことを覚えたんだ



実の両親に甘えることができないなんて寂しい話だ



たまに友達が家族と旅行に行ったっていう話をしてると羨ましくて涙が出そうになる



「はああああー」



なんか今日は疲れたなあ



私は何も考えることなくフラフラと浴室に向かい、シャワーを浴びた



いつもならちゃんと髪を乾かすけど、そんな気力もなくて乾かさないまま2階の部屋に行く



そしてベッドに入って落ち着いた瞬間、すぐ眠りに落ちた





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