永世中立でいたいんだけど、そうさせないのが君たちだよね 〜龍になっております〜
ゆいが運転席から降りてめいの方へと近寄るとめいも同じようにゆいへと距離をつめる。
「もうやめてよ。話し合おうよ、一旦落ち着いてよ。」
私の声は届かない。間に入ったがはじき出され、ゆいの車のバンパーの角に頭を思い切り激突した。めいはゆいの銀髪を持って後ろにグッと引く。同じくゆいもめいのロングヘアーをブチブチと引き抜いてお互いに殴り合っている。生々しい音が聞こえる。
「めい、ゆい…」
力が抜けていく。秋の夕方はこんなにも暗かっただろうか。
「おい!救急車!誰か救急車を!」
めい、ゆいのどちらかが大怪我をしたのだろうか。ダメだ、身体が言うことを聞かない。
「倒れた子の頭から出血だ!!早く止血を!」
あれ?倒れたって…私?
たまたま通りかかったと見られる私と同い歳くらいの男の子が私を抱き寄せた。
なんだろう、とても懐かしい香りだ。
すると男の子は私に
「おかえり、アラン」
と聞いたのを最後に視界が真っ暗になった。
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