永世中立でいたいんだけど、そうさせないのが君たちだよね 〜龍になっております〜
町の民が何事かと上空を見上げる頃には既に砂埃を立てて処刑人を粉々に噛み殺していた。彗星のごとくに降り立った純白に輝く龍は横たわる男の子を守るようにして戦闘体勢に入っていた。民は逃げ惑い、超級魔道士だと思われる者たちがそれぞれ自分の仲間である龍族を前に出して隊列を組み、呪文を唱え始めたが遅かった。次々に色々な種類の龍族の喉を喰いちぎっては逆立つ鱗で呪文を弾き飛ばしていく。まさにその姿は
ーー殺戮の天使ーー
誰にも止められやしない。龍の本能とアラン…いや、りん本人の性格が最恐を生み出してしまっていた。
「あ''あ''あ''あ''あ''あ''あ''あ''あ''!!!」
龍族と超級魔道士を跡形もなく消したあとの次はこの町が的となった。大地を揺るがす咆哮は家をも吹き飛ばし舗装された町の道路であるコンクリートまでもが耕された。的を決めた龍は一瞬にして姿を消し、一瞬にして的を消す。
すると弱々しくか細い声で
「……ぁらん」
と聞こえた。クロウの声で我に返った。私は攻撃を止めてクロウに駆け寄る。
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