永世中立でいたいんだけど、そうさせないのが君たちだよね 〜龍になっております〜
「あなた様をこれから保護致します」
…保護?雨に濡れた頬の上に乗せられるほんのりと温かい手には慰めの感情が感じられる。
(そんなに弱っているように見えるのかな)
右目に映る幹部と思われる魔道士の頬から雫が落ちてゆく。
「こんな姿になるまで…どれほどの悲しみを耐えてきたのか…もう大丈夫ですよ」
私の身体は全身が龍木化していた。鱗は茶色に変色し、苔が生え始めていたのだ。病のようなものだろうか。
その魔道士の雫は雨とは違う気がした。私は精一杯の力で右手を動かした。
ーーうわあっ!ーー
青い魔道士たちはザッっと一気に後ろへ下がるがすぐに元の位置に戻る。
純白の龍族は右目に映る魔道士を冷えきった自分の手で優しく引き寄せた。
(温かい…)
崩れ落ちていく感情、抱いた絶望間、傷だらけの鎧はそれを最後に瞼を閉じた。
「運べ!慎重にだ!」
青い魔道士たちの上空にいた龍族と協力して徐々に宙を浮く身体を見つめていた幹部の魔道士は固く握りこぶしを作っていた。
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