永世中立でいたいんだけど、そうさせないのが君たちだよね 〜龍になっております〜
私はどのくらいの時間眠っていたのだろうか。目を覚ました頃には施設内の照明がもう暗くなっていることに気づく。
「ん…んぅ。」
身体が軽い。そう思い、久しぶりに羽を伸ばすと鎖が全て消えてなくなっていた。何やら声が聞こえる。
「アルフォンス様をお助けしろ…!何をしている…!」
よく耳を澄ますとドオオンと言う音と共に悲鳴が聞こえる。
(何かあったのか…?)
人間がひとり、やっと通れる程の小さな扉から外の景色を覗くとそこには火が燃え盛っていた。
「…?!」
何が起こっているのだろうか。
「純白の龍族には触れさせるな!結界を強化しろ!…ぐああ!!」
指示を促していた男に黒のローブを身につけた魔族が剣戟を食らわせる。私はいてもたってもいられなくなってしまった。扉を破って外に出ると、敵と思われる魔族が振り向く。
「ゆい…」
ニヤアと不敵な笑みを浮かべるその姿はまさに悪役だ。
「やっと見つけた。愛しき純白の龍族よ。」
ゾクッと毛が逆立つ。普通に怖い。
「ゆい…私が分からないの?」
ゆいに優しく語りかけた。
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