永世中立でいたいんだけど、そうさせないのが君たちだよね 〜龍になっております〜
アランにとってその話は重すぎた。
「それじゃ…私は…」
ゴクリと唾液を飲み込む。アランは龍族の王として生まれてしまったのだ。いや、呼ばれてしまったという方が正しいだろう。
「アラン…と言ったか。」
考え込んでいた私の目は魔族の王に向けられる。優しい瞳だった。思わず意識が吸い込まれていくようだ。
「そんなに考え込まなくとも良いのだよ。」
ほっほっと小さく笑った後に続ける。
「もう時代は変わったのだ。責任を負う必要もないのだ。」
果たしてそれで良いのだろうか。ではなんのためにこの世界に呼ばれたのだろう。
「おお…そうだ。そこの2人。」
魔族の王は厳しい眼差しをめいとゆいに向ける。
2人は身を硬直させながら返事にならない細い声で応えた。
「「はぃ…」」
「詳しく今の現状を話すと共にこれからの事を話そうではないか。」
そういうと大きな龍族の群れを率いて城へと引き返していった。
「ご同行願います。」
ゆいとめいは私に目で何かを訴えながら周りで話を聞いていた魔族たちが連行していった。
「ゆい…めい…」
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