謀りの王妃
下級官人の娘である素綾|《ソレイ》は、何故か皇帝の第三皇子で、冷酷だと有名な高龍王府の牀榻|《ネダイ》に座っていた。
(……なんで、なんでこんなことに)
全身真紅の婚礼衣装を身にまとった素绫|《ソレイ》は、後悔の念に苛まれた。
そう、この婚姻は素綾にとってはけして望んだものでらなかった。
「王妃、殿下がお越しになりました」
部屋の外から侍女の声が掛かり、いよいよ高龍王を対面である。
(バレてはいけない)
素綾|《ソレイ》は自分に言い聞かせた。紅蓋頭が顔を覆っている為、高龍王|《コウリュウオウ》の姿は足元だけ薄らと見えている。
「お前が、琳華|《リンカ》か」
その冷たい声色に、素綾は一瞬言葉に詰まったが、「はい」と返事をした。
すると彼は、乱暴に紅蓋頭を引き剥がし、それを床に打ち捨てた。
衝撃で素綾《ソレイ》の身体は牀榻|に転がり、すぐさまその上に高龍王が跨って、素綾|《ソレイ》の逃げ道を奪った。
「さて、どうしてやろうか、このままお前を慰み物にでもしてやりたい所だが、周りの者やお前の両親に寵愛を受けているとでも思われたら気分が悪いからな」
「???」
素綾|《ソレイ》は訳が分からず怪訝そうに高龍王を見た。
「しおらしい振りはやめるんだな。白々しい」
彼が自分に対して怒りを露にしている事だけは言葉や雰囲気で伝わってくる。
「殿下、私めに何かお怒りなのですか?」
素直に疑問をぶつける。そもそも自分は琳華ではない。彼と本物の琳華との間に何かがあったのかもしれない、その事にはさほど興味はないのだが、今は琳華は自分なのだ。何故これ程まで自分に対して怒っているのか、これからの事を考えると知っておきたい。
「何か、だと!?その口、舌を切って二度と喋れなくしてやろうか!?」
その言葉に琳華は咄嗟に両手で口を覆った。
「本当に何も知らぬと言うならそれもいいだろう。知ろうが知るまいが、お前はもうこの高龍王府の籠の鳥だ。煮るなり焼くなり俺の自由だ」
彼は琳華から身を離すと、そのまま部屋を後にした。
訳が分からないまま、琳華ははぁ、と息を吐いた。
(……なんで、なんでこんなことに)
全身真紅の婚礼衣装を身にまとった素绫|《ソレイ》は、後悔の念に苛まれた。
そう、この婚姻は素綾にとってはけして望んだものでらなかった。
「王妃、殿下がお越しになりました」
部屋の外から侍女の声が掛かり、いよいよ高龍王を対面である。
(バレてはいけない)
素綾|《ソレイ》は自分に言い聞かせた。紅蓋頭が顔を覆っている為、高龍王|《コウリュウオウ》の姿は足元だけ薄らと見えている。
「お前が、琳華|《リンカ》か」
その冷たい声色に、素綾は一瞬言葉に詰まったが、「はい」と返事をした。
すると彼は、乱暴に紅蓋頭を引き剥がし、それを床に打ち捨てた。
衝撃で素綾《ソレイ》の身体は牀榻|に転がり、すぐさまその上に高龍王が跨って、素綾|《ソレイ》の逃げ道を奪った。
「さて、どうしてやろうか、このままお前を慰み物にでもしてやりたい所だが、周りの者やお前の両親に寵愛を受けているとでも思われたら気分が悪いからな」
「???」
素綾|《ソレイ》は訳が分からず怪訝そうに高龍王を見た。
「しおらしい振りはやめるんだな。白々しい」
彼が自分に対して怒りを露にしている事だけは言葉や雰囲気で伝わってくる。
「殿下、私めに何かお怒りなのですか?」
素直に疑問をぶつける。そもそも自分は琳華ではない。彼と本物の琳華との間に何かがあったのかもしれない、その事にはさほど興味はないのだが、今は琳華は自分なのだ。何故これ程まで自分に対して怒っているのか、これからの事を考えると知っておきたい。
「何か、だと!?その口、舌を切って二度と喋れなくしてやろうか!?」
その言葉に琳華は咄嗟に両手で口を覆った。
「本当に何も知らぬと言うならそれもいいだろう。知ろうが知るまいが、お前はもうこの高龍王府の籠の鳥だ。煮るなり焼くなり俺の自由だ」
彼は琳華から身を離すと、そのまま部屋を後にした。
訳が分からないまま、琳華ははぁ、と息を吐いた。